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キラキラ

第15章 1000回言って

なんだって……?


待ってくれ。よく分からない。

なんで、ここに潤くんがでてくるの?


すると、そんな心のうちを読んだかのように、そいつが答える。


「俺さ。あなたたちの世界の緑を管理してるんだ。でね、今回緑を大事にしてる人を、ピックアップして特別にパラレルワールドにご招待したんだよ!」



「……緑を大事に?」



「潤くんは、盆栽してたから」



「……俺、別に何もしてねえぞ…」



「あなた、緑がイメージカラーの人を大事にしてるでしょ」



「………」



「アイバクン」



力が抜ける。


そんな…そんなことで、俺は、ここ数日苦しみ抜いたわけか?

ピックアップする基準に合致したことは、なんだか気恥ずかしくはあるのは認めるが、はっきりいって迷惑以外の何者でもない。




あ……なんだかムカムカしてきた。




ところが、表情の固いであろう俺には、全く頓着せず、管理人はペラペラとよくしゃべる。


「潤くんも最初泣いてたけど、楽しんできたみたいだよ」


「………」



…すげえ、潤くん。

楽しむだ?
そんな余裕一ミリだってなかった。
ひたすら俺は、帰りたかったのに。


地獄でしかねえだろ。あんな世界。


仏頂面で管理人を見据えてると、そいつはにこりとして、言った。



「翔くんにもう一度恋した顔してたよ」





「……」




……まあな。



改めて好きになれたかどうかは分からないが、改めてあいつが大事だということは思い知ったかもしれない。

もう会えないかも、と思った時のあの絶望感は、言葉では言い表せない。


二度と味わいたくない。




「あなたは?」



だからって。
てめえに、感謝なんか死んでもしねえぞ。


「ねえ」



「……るせえな」



「怒ってる?」



「あたりまえだろうが!」



管理人は、くすりと笑った。


ムカつく!!!


余裕がムカつく!!!


俺が今にもかみつきそうな目をしていたのだろう。
管理人は、目尻をさげて優しく言った。



「……………厳しかったかな。もとの世界でしっかり甘えておいで?」


お前にいわれなくたって……………!

言い返そうとしたら、

「またね、にの」

と、パチンと指を鳴らされ。


同時に、ふっと目の前が暗くなった。


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