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キラキラ

第15章 1000回言って

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パチパチパチ


なんだか今の俺の心情に全くそぐわない、能天気な拍手の音がして、ふっと目が覚めた。


「……………」


なんだ……………?


上も下も真っ白な世界に横たわってる俺。
状況がつかめなくて、知らず眉間にしわがよる。
俺………相葉さんの部屋にいたよな?


そこへ。


「お疲れ様!」


ピョンと飛び出してきた能天気な人物に、驚いて、思わず体をおこした。


金色の髪に、ピーターパンのような緑色のひらひらの衣装をきた不審人物が、俺の前にちょん、と座ってにっこり笑ってる。


相葉さん………じゃねえな。


どういうわけなのか、この座ってる人物は相葉さんによく似ていた。
輪郭や、目元。口元。髪型。
遠くからみたら、よく知らないやつは相葉さんと間違えるだろう。
そっくりさん大会でも開催されりゃ、上位入賞間違いない。



……でも俺にはすぐ分かる。



相葉さんは、口元にホクロはないし、目の色はもっと黒くて優しいし、声ももっと柔らかくて……………


考えてる間にだんだんムカついてきた。


お前も偽物か。
もう偽物はまっびらだ。



「誰だてめえ……」



不機嫌丸出しの口調ですごんでみたけど、そいつはあっけらかんと笑って、


「どう?楽しかった?」


と、言った。



意味が分からない。



「………は?」



「ノーマルの世界だよ。なかなか刺激的だったでしょ」



「…………」





沈黙。





俺は、自分のもてうる限りの順応性を駆使し、こいつの言葉を分析した。



ノーマル……………?
……………な、世界?




「……………てめぇがなんかしたのか」



「そうそう。パラレルワールドって知ってる?それなんだけどさ。あなたをノーマルな世界にご招待したの」



そんなバカな……………と、いつもの俺なら一笑に付すような内容だが、自分が実際に体験したことが真実だ。

現実とは以て非なる世界。

あの相葉さんや大野さんは確かに別人だった。

やっぱり、違う世界だったんだ。



「もう少しいてもらうはずだったんだけどさ、潤くんに早く迎えに行けっていわれたから」



「潤くん…………?」



「ああ。あなたの友達でしょ?さっき彼も別世界から引き上げたとこだよ」


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