
キラキラ
第37章 寵愛一身
「黙ってきいてりゃ、わけわかんないことグダグダ言いやがって……」
松本は、そう吐き捨てて、俺の肩をぐいっと抱き寄せた。
さらに、准一を睨み付け、
「よく聞け。こいつは俺のだ。金輪際、手を出そうなんて思うな」
「…………」
つかまれた肩が痛い。
怒気をはらむ声音に、顔を見上げたら、松本が見たことのない表情をしていた。
ギラギラした目は、准一を今にも焼き殺しそうにたぎっている。
……本気で怒ってる
俺は、恐る恐る准一に視線をやった。
准一は、あっけにとられたような顔で、俺らを見て……ゴウと呼ばれてたロン毛と目をあわせた。
そうして、えーと……と、頭をかきながら、また俺らをみた。
「俺のっていうけど……おまえらつきあってんの?」
「そうだっつってんだろ」
「……おまえら男同士だろ?」
「それがなんだ。お前も同じじゃねぇか」
なんだ、女とつきあってるわけじゃなかったんだ、と、准一はぼやいた。
そして、
「もうキスとかしてんの?」
などときいてくるもんだから、俺は、飛び上がった。
まずい
不意打ちとはいえ、俺は、こいつに唇を奪われてる。
松本にばれたら……!
「言う必要ねぇだろ」
俺が、焦っていると、准一は、ふふっと肩をゆらして、腕組みをした。
「俺はしたぞ?昨日、二宮と」
バカーー!!
俺の心の叫びむなしく、准一は自慢げに笑った。
