
キラキラ
第37章 寵愛一身
「……彼氏候補って……なにいってんだ、お前」
松本の低い声に、俺はすくみあがった。
昨日の話を、松本に、まだしてなかったことを後悔した。
告白されたことくらい言っておけば……なんて説明しよう!
「俺、二宮に惚れたから。アタック中?」
准一は、自分を指さして……俺を指さした。
「…………」
……冷や汗がでてきた。
どうしよう。
ってか准一のやつ、これ以上いらないこと、いわなきゃいいけど……!
俺の焦りをよそに、准一は、松本の不機嫌さに気づいてるのか気づいてないのか、楽しげに続けた。
「昨日さ、二宮にやっとで、コクったんだけど、返事きいてないし」
「は?」
松本が、いらっとした声をあげた。
「……っ……」
心臓がとまる。
なんで今言うんだよっ!
「へ……返事したけど!」
俺は、松本の後ろから出て訴えた。
「恋人がいるって言ったじゃん!」
「でも。だからダメだとはきいてないし?」
准一は、しれっと言ってのける。
「女より男の方がいいって言うじゃん。俺で試してみなよ」
「…………」
無言の松本が恐い。
俺は、必死になって首を振った。
「無理。あんたと付き合う気はないよ!」
「いーじゃん。黙ってりゃわかんねーよ。俺と歩いてても友達か先輩としかみられない。ちょっとお試しでさ」
「……いい加減にしてくれ」
事態がのみこめたのか、松本が聞いたこともない声で割り込んできた。
