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キラキラ

第37章 寵愛一身


めんどくさいという意味が、いまいち分からなかったけど、松本たちが相手にするつもりがないことに、ちょっと胸を撫で下ろした。

この人たちが喧嘩が強いのは知ってるけど、できるだけそういう揉め事には関わってほしくない。
怪我しないとも限らないし。

あとは、そいつらがふっかけてこないかどうかだけだ。




だが、俺の不安は別の意味で的中した。

まだそいつらがいるかもしれないから、俺のそばを離れるなよ、という松本の後ろについて、学校をあとにしようとしていると、


「お!やっとみっけた」


聞き覚えのある声がして、俺は、ギクリと体の動きをとめた。

立ち止まった松本の背中は、少し緊張してるようにみえる。

俺は、そっと顔をだし、その声の主を確認して、あ!と声をあげそうになった。


「よぉ、二宮。会いにきたぞ」

「……なんで……」


俺のつぶやきに、松本が怪訝な顔をして振り向いた。


「……知り合いか」

「違います」

「……でも、こいつはお前のこと知ってるみたいだぞ」


……どうしよう


俺が、言い淀んでると、准一は、ははっと豪快に笑った。


「俺、彼氏候補な。ちょっと二宮貸して」


そうしてとんでもないことを言った。

松本が後ろ手に俺を自分の背中の影に隠した。

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