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キラキラ

第37章 寵愛一身


「嘘つくな」

「嘘じゃねーわ…二宮に聞いてみ?なぁ?」


准一の言葉に、パニックになる。

なんて答えりゃいいんだよ。
松本に嘘ついたってすぐばれる。
でもほんとのことなんて……

ところが、そういう俺の態度が、むしろそれを真実だと語っていたようだ。


「……ほんとなのか」


松本が信じられないというような顔で、俺を見た。


「……あの……」

「カズ」

「…………そんなつもり……」

「ほんとなのか」


俺の言葉に被せるように、松本が確認してくる。
黙ってる俺をみて、


「ほんとだってば。まぁ不意打ちなんだけどさ」


准一がのんきに声をかけた。

瞬間、松本の押さえつけてた堪忍袋の緖が、ぶちっと切れる音がした気がした。


「っ……!てめぇ!!」


俺をつきとばした松本が、准一に飛びかかっていく。


うそっ


「だめっ……!……松本さん!!」


校門前で喧嘩だなんて目立ちすぎる。

しかも、准一は面倒だから関わりたくないっていってたじゃないか。


どうしよう!誰か……!


俺が尻餅をついたまま焦ってると、飛びかかっていった松本が、准一に軽くいなされて、逆に押さえ込まれてるのをみた。

目を疑う光景だった。

誰よりも強いはずの松本が、完全に劣勢だった。


「潤くん!!」

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