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キラキラ

第37章 寵愛一身


「へぇ……どんな子?」

「あんたに教える義理はないだろっ!……いいから離せよ!」

「……はいはい」


肩をすくめた准一が、ぱっと手を離し、俺は体を遠ざけた。
無駄に力が強い男だ。
一瞬動けなくなって、焦った。


「……俺にしときなよ」

「結構です」

「男はイヤか?」

「っ……そうじゃなくて」

「あれ。男は許容範囲内?」


面白そうな瞳。
俺の反応を楽しんでるみたいだ。

……これ、俺、誘導尋問されてるような
気がする。


「……用がそれだけなら帰る」


俺は、踵をかえした。
すかさず俺の行く手をはばむように、ロン毛が立ちはだかる。


「……どけよ」

「どかねーわ……お前、くちの聞き方気を付けろよ」

言いながら胸ぐらをつかみあげられた。


「ゴウ。いい。ほっとけ」

「でもっ!」

「ゴウ」


准一が静かに制した。

苦々しい顔で、ロン毛が手を離す。

俺は、そいつを一睨みして駆け出した。
肩でもう一度唇を拭った。

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