
キラキラ
第37章 寵愛一身
「……二宮?」
「…………」
「二宮」
「…………」
名を二度ほど呼ばれた。
思考停止に陥ってた頭が、ゆるゆると動き出す。
何いってんの……この人。
何したの。今。
自分の唇に触れた柔らかいものの感触の正体をみとめるのが嫌で、俺は唇に添えた指で、ぎゅっと自分の唇を拭った。
なんだよ……突然。
「……いきなりすぎやしない……?」
やっとの思いで、抗議すると、
「……愛情表現だぞ?」
しれっと、准一はその意図を伝えてきた。
俺は、苛立つように、腕でもう一度自分の口を拭った。
「……同意じゃなかったら……ただの嫌がらせだろうが」
「なんで。別にファーストキスってわけじゃないだろう?」
言って、腰を引き寄せられたから、全力で後ずさりした。
「……っ……離せ」
「……恋人は。いるのか」
「いるよっ」
好き勝手されそうになって、苛立ちと恐怖のあまり、俺は怒鳴った。
