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キラキラ

第37章 寵愛一身


そのまま顔をあげさせられ、ど正面で准一をみた。

准一は、そのきれいな二重の目を、少し細め、俺を値踏みするかのようにまじまじと見つめてきた。

吸い込まれそうなそうなそれから、目をそらしたいのに、なぜか俺は固まったまま動けなくて。


「おまえさ、俺のものになれ」


准一が言った言葉も、一瞬分からなかった。

そして、ゆっくりとこれと同じ台詞を松本に言われたことを思い出す。


……俺のものになれ?


「……それって」


まさかとは思うけど。


「分からないか」


言うが早いか、唇に何か柔らかいものが重なって、すぐに離れた。


「………こういう意味の。俺のものだ」

「…………」

「電車がおなじなんだ……ずっと気になってた。」

「…………」


口も聞けない俺に、准一は仕方ない、というように苦笑した。


「……やっぱり。男はイヤか」


「…………」



…………そういう問題じゃなくて。


俺は、自分の唇に指をおいた。

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