
キラキラ
第37章 寵愛一身
弁当を食べながら、時々、隣の松本を見上げる。
松本は、光一さんが、つくったという、歪なおにぎりをぱくつきながら、楽しそうに藤井たちと爆笑してる。
俺は、そんな彼らをみるのが好きだ。
彼のまわりにはいつでも輪ができる。
見た目は一見怖そうだが、そこは中学生時代からの付き合いのやつらが中心となり、みな松本に絡んでゆく。
人徳なんだろうな、と思う。
そう考えるうちに、松本が、女の子からの告白を黙っていたことも、たいしたことじゃないと切り替えれるようになってきた。
だって、俺に言ってどうすんだって話。
モヤモヤするのは勝手だけど、知らぬが仏という言葉だってある。
好きな人の事は、なんでも全部知りたいと思うのは、その人のエゴなんだなぁ……って、少し思った。
「二宮ぁー?どした?」
箸が止まった俺を、紙パックのジュースをじゅるじゅるしてる相葉が、気にかけてくれる。
「……あ……えと……お腹いっぱいだなぁ……と思って」
「だーめだよ。食わなきゃ。だから細ぇーんだよ」
「カズ?」
俺の様子に、話をしてたはずの松本まで、こちらを振り向いた。
笑ってしまった。
この場にいれることが幸せだ。
