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キラキラ

第37章 寵愛一身


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週末には、光一さんは大阪に帰ってしまうという。
俺は、お言葉に甘えて、金曜日の晩にお邪魔することにした。

一見、家事まるでダメですみたいな雰囲気をだしてる光一さんだが、実は料理が得意だという。
松本の食べてたおにぎりの形の歪さに、うそだ、と思ったけど、彼が来てる間は、松本の食事はすべて面倒みてくれてるというから、本物だ。

きっと、男の料理なんだろうな。

松本家のお手伝いさんも、楽チンです、と喜んでるとか。

勇気をだしていろいろと質問してみたら、松本は思いの外、たくさん自分の話をしてくれた。

根掘り葉掘り聞くのは、図々しいかと思っていたのは俺だけだったみたいで、松本はなんだか嬉しそうだ。


……なんだ……聞いていいんだ。

俺のことを話すばかりで、松本のことをあまり聞いてこなかった俺は、ほっとして、たくさん彼の話を聞いた。

光一さんは、丸々、二週間松本と過ごしては、帰阪する生活を、これまでにも何回かしてるらしい。

年もまぁまぁ近いことから、(とはいっても20代だが)、未成年の松本のお目付け役に、ぴったりだと松本の両親に頼まれたことがきっかけだとか。

両親とのすれ違いの生活も、もう、慣れた、と笑う松本。

「あの人たちについて海外をまわったら、転校ばかりしないといけないし、俺は日本で留守番の方が気楽なんだ」

今はパソコン一台あれば、海外だろうが連絡なんてすぐとれるしな、と言われて、なんだか住む世界が違うなぁ……と、感心してしまった。

松本が大人びて見えるのも、こういうところなんだろうな、と思う。

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