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キラキラ

第37章 寵愛一身


「カズ」


いつもの溜まり場、いつものベンチのど真ん中に、松本はいた。

俺に向かって笑顔で片手をあげる松本は、スッキリした顔をしてる。
頭痛で、うんうんいっていた一昨日とはえらい違いだ。


「こんにちは……」

「遅かったな」


横にストンと座ると、待ちかねたようにぐいっと肩を抱きよせられた。
ふわりと松本の匂いがして、ドキドキする。

今日は、スキンシップ激しいな、と、嬉しく思った。

……なんだか飢えてるみたいで、我ながら痛いけど。


「……スミマセン」

「こないだはありがとうな」

「いえ……俺は何も」

「光一が、見舞いの御礼に、飯食いに来いって」

「……コウイチ?」

「……あいつの名前だけど」


松本が、名前も知らなかったのか、と笑った。

従兄弟さんの名前、光一っていうんだ。

けど、松本の体の方に意識がいってて、それどころじゃなかったもん……

俺は、へへっと頭をかいた。

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