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キラキラ

第37章 寵愛一身


「ちなみに……」


と、櫻井は肩をすくめる。


「……俺も言わないけど」

「………そうですか」


まぁ……それも優しさだと言い切る櫻井ならそうかも、と思った。大野を不安にさせたくないって思うんだな。


「……心配させない派なんですね」


すると、櫻井は、いいや、と、苦笑して首を振った。


「言ったら……その相手は大野に何されるかわかんないから」

「……え」

「女は……まぁともかく。男は間違いなく呼び出しだな」

「マジですか……」

「もともと俺は隠し事苦手だから、すごく気を使う」

「へぇ……」


櫻井は、何かを思い出すような顔をする。

このルックスだ。

体育大会のときのような事件ほどではないにせよ、女にも男にも、告白されたことは一度や二度じゃないだろう。


そうすると、大野って、案外と嫉妬深いんだな……。


飄々とした態度だから、分からないけれど、人は見かけによらないな、と思う。

……でも、俺もきっと、自分が思う以上に嫉妬深いんだろう。

松本は確かに断ってるのに……その告白自体が気に入らないんだから。


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