テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身

*******

四時間目の終わる鐘と同時に、俺は弁当を手に、裏庭に駆け出した。


今日は、三日ぶりに登校するって、昨晩、松本から連絡があった。


…………もう大丈夫なんですか

…………おお。すっかり元気。ありがとうな

…………よかった……

…………早く、おまえに会いたい……

…………お……俺もです


交わした会話を脳内で再生してると、一人なんだか照れてしまう。

ニヤニヤしそうになる顔を叱咤しながら、俺は小走りで、昼休みで賑わう渡り廊下を走り抜けた。

そのまま、階段を駆けおりかけて、ふと足が止まる。


「なんだ、どうした?いつになく急いで」


下からあがってきたのは、


「櫻井先輩……」


くるんとした大きな瞳は、優しく細められてる。
櫻井は、黙って立ってれば優等生にもみえる珍しいヤンキーだ。

彼の恐ろしいほど冷たい視線をみたこともある俺は、そのギャップに舌をまく。

大野や菊池もそうだけど、この先輩方は、周りに向ける目と、一度打ち解けた相手へ向ける目の、落差がすごすぎる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ