
キラキラ
第37章 寵愛一身
「あの……お腹すいたから早く食べたいなって思って……」
「うん。その場所に会いたい人がいるしな」
「…………」
絶句した俺に、櫻井は、イタズラっぽく笑んだ。
かっと顔が熱くなるのがわかった。
「……はは……うそうそ。早く行けよ。待ってんだろ」
誰が、とは言わない櫻井は、完全に面白がってる。
「はい……」
と、ペコリと礼をしかけて、俺は、ふと櫻井に聞いてみたかったことを思い出し、足をとめた。
なかなか動こうとしない俺に、首を傾けて、ん?という顔をしてる櫻井に向き直った。
幸い、この階段は、裏庭に続くもののため、一般の生徒はこの時間あまり使わない。
なので、俺は少しだけ声のトーンをおとして、尋ねた。
「あの……櫻井先輩は大野先輩とおつきあいしてるんですよね……?」
櫻井は、表情ひとつかえずに、
「……それがなに?」
といった。
