
キラキラ
第37章 寵愛一身
く……くさくないかな、俺。
ドギマギしながらも、手持ち無沙汰な手のひらを、そっと松本の髪に置いた。
……柔らかい。
そのまま、よしよしとするように頭を撫でると、松本は、ふふと肩を揺らした。
「……気持ちいい」
「ほんとですか……」
「ああ……カズが触ってくれると痛みがひく」
俺の下腹に顔を埋めたまま喋るものだから、吐息があたってお腹があったかい。
いや……松本自体も熱いのかも。
「熱あがってきてませんか……?」
「……わか……んね……」
「……早く元気になってくださいね」
「ん……」
とぎれとぎれの会話。
俺がゆっくり頭を撫で続けてるうちに、従兄弟さんが、薬を手に戻ってきた。
従兄弟さんは、おまたせ、と、ソファに座りながら、怪訝な顔をする。
「……あれ。こいつ寝よる?」
「いえ……多分、まだ」
言ってのぞきこもうとしたとたん、すう……と、深い寝息が聞こえて、従兄弟さんと二人顔を見合わせた。
「寝とるな」
「……そうみたいですね」
「重いやろ。おい、潤」
言って、従兄弟さんは松本を起こそうとしたから、俺はあわててとめた。
「あのっ……ちょっとだけこのままでもいいですか」
「でも……」
「俺がしたいんです……だめですか」
恋人だってばらされてんだ。
膝枕くらい、いいだろうよ?
俺は開き直って、うったえた。
従兄弟さんは、目を丸くしてから、ちょっと笑った。
そして、
「……布団。持ってきたるわな」
と、立ち上がった。
