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キラキラ

第37章 寵愛一身


「……は?どーゆーこと……?」

「まんまの意味だよ……こいつは俺のだから」


手だすなっつってんの、と、言い、松本は寄りかかった俺から少し体を離し、こくこくと水を飲んだ。

ド直球の牽制に、俺は固まり、顔をあげれなくてうつむいた。

さっき、従兄弟さんに、ただの後輩じゃないよなと突っ込まれたとき、俺は、松本にはよくしてもらってると答えた。


いや、オブラートに包んだ意味、全くないじゃん……。


どんな顔をしてよいのかわからず、ひたすら小さくなってると、



「なーんや……やっぱそうか」


と、従兄弟さんは明るく言った。


「お前に会いに来るような子、初めてだったからやな。あやしいなあと思っててん」

「……」


思わず顔をあげる。


「…………」



従兄弟さんは、優しい目をして俺を見てた。
この目は……松本と似てるって思った。
懐の深い人の目だ。


「そっか……潤のねぇ……」


呟いた従兄弟さんは、一転イタズラっぽく聞いてくる。


「……潤のどこがいーん?」

「……え…と」

「俺の方がいい男ちゃう?」

「おい」


すかさず松本の突っ込みが入る。
従兄弟さんは、嘘やと言って、あははと笑った。

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