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キラキラ

第37章 寵愛一身


「……なんだ……見てたのか」

「はい」

「じゃあ、名乗り出たらよかったのに……俺が恋人だって」


松本がふふと、低く笑った。


……言えるわけないじゃん。


俺は、松本の温もり……というより、熱さを感じながら、彼の頭にちょん、と自分の頭をくっつけた。


「そんなの……俺みたいなのが名乗り出たら、潤くん変な噂でちゃいますよ……」

「……なんで」

「男で…しかもこんな俺が相手」

「カズ」


それ以上喋らすまいとばかりに、遮られた。

松本は俺に寄りかかったままの体勢を崩すことなく、


「怒るぞ」


と、一言言い放った。

そのタイミングで、水の入ったグラスを手にした従兄弟さんが戻ってきた。


「はい、おまち」

俺はあわてて姿勢をただす。
でも、松本は俺に寄りかかったそのままで、ありがとうと手をあげた。


「おまえ、二宮くん重たいだろうが。ちゃんと座れや」

「やだ」

「やだってなぁ……おまえ」

「あのさ、光一。こいつに手だしたら、俺キレるからね?」

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