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キラキラ

第37章 寵愛一身

驚いて振り返ると、青白い顔の松本が、扉によりかかるように立っていた。

従兄弟さんが、心配そうに立ち上がった。


「どうした?寝とけゆーたやん」

「喉かわいたんだよ……水くれよ」


松本は、しんどそうに呟いて、髪をかきあげる。

へいへい、と従兄弟さんがキッチンに行くのを見届けた松本は、ソファーに座ってる俺の方に、フラフラ歩いてくると、どっかりと隣に座った。


「いつきた……?」

「あ……さっきです」

「そっか……」


松本は、そのまま体を斜めにして、俺の肩に頭を置いた。

心なしか全体的に体温が高い気がする。
俺は松本の背中をそっと撫でた。
少し汗ばんでる。

昨日よりぐったりしてる感じが気になって、俺は思わず聞いた。


「……大丈夫ですか」

「……あんまり大丈夫じゃない」

「……熱は高いんですか」

「それほど。とにかく頭が痛ぇんだ……」


松本は、小さく呟いて俺に体重をかけた。


「……それより。告白のやつ。なんで知ってんの」

「ああ……それは……」


隠れてたけど意味ないじゃん……と思いつつ、俺は、数日前の本屋での出来事を見てた話をした。

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