テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


「……なんで泣きそうなん」

「……いえ、なんでも」

「……ふーん……」


従兄弟さんは、それ以上つっこまなかった。
深い考えはないだろうけど、ありがたかった。


俺は、うつむいてオーレを飲む。
ちょっと生ぬるくなってて、猫舌の俺には飲みやすかった。


しばらく黙ってた従兄弟さんは、空気をかえるように、じゃあさ、と、身を乗り出してきた。
興味津々な表情に、俺は身構える。


「なぁ……逆に聞くけど、潤って学校ではどんなん?」

「……え……」

「あいつモテるん?」

「……えと……」

「彼女おるん?」

「…………」



どう答えたら正解なのだろう。

俺はひきつった顔で固まった。

彼女……やっぱそう来るよね。

思考停止に陥りたい頭を叱咤しつつ、俺はとりあえず、彼がモテてるかどうかの問いを拾った。


「あの……モテてると思います」

「へぇ……自分ら男子校やったよな。他校の女子?」

「はい。この間も告白されてて……」

「……なんで知ってんの」


そこへ、掠れた声が割り込んできた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ