
キラキラ
第37章 寵愛一身
起こすつもりもなかったし、顔さえ見れたらそれで充分だと思ったから、俺は、もういいです、と目で訴える。
しんどいならなおさらだ。
そうか、というように頷いた従兄弟さんと、二人で、再び階下に下りた。
「……熱はそれほど高くはないんやけど……頭痛がおさまらないみたいでな……あ、カフェオレでええか?」
従兄弟さんは、ポットに電源をいれて、俺にきいた。
通されたリビングで、俺は小さくなりながら、はい、と、頷いた。
この家のリビングは初めてだ。
何畳あるんだろうというくらい広いフロアに、みたことないくらい大きなテレビ。
真っ白の皮のソファにガラステーブル。
ドラマや映画で見るお金持ちの家の手本のような部屋だ。
まさか、これはペルシャ絨毯じゃないよね……?と、足元をみつつ、間違っても飲み物をこぼしてしまったら、クリーニング代はえげつないだろうと、内心震えた。
「はい。熱いで」
マグカップに、なみなみそそがれたオーレ。
手のひらでそれをつつむと、冷房で少し冷えたからだに心地よかった。
「あの……」
「ん?」
「じ……潤くんのお母さんは、今日はおでかけですか?」
こないだも、保護者のようにあらわれた従兄弟さん。
おうちの人って……俺はまだ会ったことない。
