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キラキラ

第37章 寵愛一身

俺は軽く頭をふり、スマホを立ち上げる。

松本は、従兄弟さんにスマホを取り上げられているとはいうものの、そろそろ返してもらえてるだろうと、昨日からいくつかメッセージを送ってはいるのだが、やはり返事はおろか、既読すらつかなくて。

まだ体調は戻らないのだろうか。

本当は、今日も会いに行きたいけど、毎日行ったら迷惑かなぁ……と思うし、男友達でそれもおかしいかなぁと思うし。

仕方ない状況なのかもしれないけど、思いが空回りしてて、しんどいよ……


俺は、弁当の蓋をとじて、また、はぁ……とため息をついた。

隣の相葉は、食べ終わったおにぎりのビニールをくしゃくしゃにしながら、あーあと伸びをした。


「……潤が読みたいっていってたマンガ、せっかく持ってきてんのになー」

「……え?!」


思わず相葉を振り仰いだ。


今なんて??


「え。相葉先輩、松本先輩に渡すものがあるんですか!?」

「お?……ああ……うん」


俺の剣幕に気圧されるように、相葉は頷いた。
俺は、内心、やった!とガッツポーズをしたい気分だった。

理由なんて、なんでもいい。


「相葉先輩、それ、俺が届けてきますよ」


今日も松本の家に行く口実ができた。

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