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相葉の顔が曇る。


｢…………｣


この人は能天気そうにみえて、実はすごく仲間思いで優しいのも、最近分かってきた。

……だから、俺は気になってたことを聞いてみた。


｢あの……松本先輩って、相葉先輩から見てどんな人ですか｣

｢俺から見て？｣

｢……はい｣


知りたい。
どんな細かいことでも。
知らないことがあるのが嫌だ、と思った。


｢クールにみえて熱い男……かな｣


相葉は、うーん、と首を捻りながらそんなことを言う。


｢熱い……？｣


そうかな。
いつでも斜にかまえて、俺に甘くて。
熱い感じはあんまり……


｢俺らが一年のときの三年にすげーのがいてさ。後輩に絡みまくっててさ｣

｢…………｣

｢あの大野ですら、手を焼くくらいのやつ｣

｢…………｣

｢そんとき、俺とか流星とか、よくやられてたんだけど。いっつも一緒になって反発して、吠えてくれてた｣

｢…………｣

｢それからだよ。あいつをリーダーにしてこんだけ人が集まりだしたの｣


相葉は、なんでもないような顔で昔話をしてくれる。

俺は、過去の話をきいて嬉しいような、悔しいような複雑な気分だった。
松本を慕うやつらがたくさんいるのは嬉しいけど……松本は、俺のだもんって思ってしまう。
聞いたのは自分なのに。

なんだろ、このモヤモヤ……。