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門扉から続く小路の、遥か遠くにある玄関の扉が、静かに開いた。

姿をみせたのは、遠目で見ても恐ろしいほど整った顔をした青年だった。

高い鼻、涼しい目元。
まるで、王子さまのような風貌だ。
松本もイケメンだが、この人は正反対の位置にいるタイプ。
ちょっと冷たい雰囲気は、大野に似ている。

白いシャツをはためかせて、こちらに優雅に歩いてくる彼は、あまり背は高くないのに、大きくみえるような異様なオーラがあった。

無表情で歩いてきた彼は、門扉ごしに俺の前に立ち、手を差し出した。


「……」

「ニノミヤくんだっけ。忘れ物。ありがとうな」


言って、催促されるように手をひらひらさせるが、俺は一気に血の気がひいた。


……どうしよう！
忘れ物なんて、口からでまかせのに。
なんにも持ってきてないって……！

ええと……と、言いながら鞄をガサゴソして、探す真似をする。


「ああ……えっと、すみません。俺、忘れてきてる」

「……なんやそれ」


苦し紛れに、ほんとのことを言ったら、その人は、はぁ？というように少し笑った。