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キラキラ

第37章 寵愛一身


もう、これは松本の家に押しかけるしかないと考えた。

松本が、もし具合が悪いなら家で寝てるだろうし。
いないなら、いないで、他に彼が行きそうな場所を、さがせばいい。

親がいたら……忘れ物を届けにきたとでも言えばいい。

ここ最近のモヤモヤが、俺の心のなかで爆発した。
嫌われるかもとか、迷惑かもとか、そういう遠慮してたら、俺は切り捨てられる。

だって、俺は男だもん。
だいたい松本はモテるし。


そんな危機感に苛まれた俺は、何かせずにはいられなかった。


……ねえ、なにかあった?


途中、何回かメッセージを送ったが、やはり既読もつかない。

いったい、どういうつもりなんだろう、と不安しかない。





相変わらずの大きなお屋敷の前で、深呼吸した。

真っ昼間の高級住宅街に、制服姿の高校生が歩いてるってだけでも悪目立ちするのに、家の前で長いこと突っ立っていたら、松本にも迷惑だろう。

俺は、早々と腹をすえ、呼び鈴に指をかける。

庶民の家では、なんだか聞いたことないような高級な呼び出し音。

しばらくして


『……はい』


松本の声じゃない、若い男の声がした。

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