テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


「……ふふ。二人共仲がいいね。究極、ぼんやりしてんのも伝染すんだね」


相葉が、くふっと笑って、大丈夫か、というように、俺の背中をとんとんと叩いた。

口一杯のあんパンに、目を白黒させてた俺は、胸を叩きながらそれを飲み込み、相葉の言葉に首をかしげた。

「二人?」

「うん。潤も、今日はなんか、朝から、ずっとぼんやりしてるよ?」

「…………」


どうしたんだろ。
寝不足なのかな。

眠っているらしき松本を見つめる。
バサバサの睫毛に閉じた瞳。

……あの瞳に見つめられたいな。


俺は、ふう……とため息をついた。


俺は随分とかわったもんだな、と思う。

松本が俺以外のものに目を向けたり、考えを馳せたりするのが、こんなにモヤモヤするなんて思わなかった。

誰かに告白される現場をみるのなんて、もってのほかだ。

……俺だけを、常に見てほしい。
俺にだけ、興味を持ってほしい。


俺は、そこまで考えて、いやいや、と頭を振った。


だめだ。めちゃくちゃ痛い男じゃん……俺。


「……あの、俺、紅茶買ってきます」


呟いて、逃げるようにその場を離れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ