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「……俺はただ、潤の気持ちを考えろって思うから」


俺の反撃に気圧されたように、上田が眼の力を少し弱めた。


「……気持ち？」


なんで、という顔をしたら、上田は、わかんねーのかよ……と、苛立つように続けた。


「男同士で成立するなんて、非常に稀だ。なのに、その片割れが他の男とホイホイ歩いてみろ。相手の男は気が気じゃねーだろ」

「でも……そこに恋愛感情なんてないんですよ？」

「あたりまえだ。でも、それが例えなくても、惚れたやつが他の男といるのは嫌だろ。フツー」


再び叱られる。


「…………」


俺は、ここ最近の松本を思い出していた。

俺をあまり側におかなくなった。
あまり触れなくなった。
俺が、他のやつらと楽しく過ごしていても大丈夫。
嘘をつく。

……これって。


「……その……それが嫌じゃないって。思う人は？」


すると、上田は、自嘲気味に鼻で笑った。


「……それは、そいつに、もう気持ちがないってことだろ」

「…………」


俺は、心臓がギュッと握りつぶされるような感覚に陥った。
呼吸が早くなりそうなのを全力で押さえつけた。


気持ちがない……。
飽きられた？俺……。


「俺にしたら、想われてる相手がいるのに、自由に振る舞うやつの気がしれないね。贅沢だ」


上田の声が遠い。


ふわふわした感覚のまま、裏庭に到着する。
いつものメンバーがそれぞれに過ごしてる。
松本が俺をみて、口角をあげた。


俺……笑えてるかな？


俺は、ぺこっと礼をした。