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キラキラ

第37章 寵愛一身



「…………おまえ……」

信じられねぇ……とでも、言いたげな視線が刺さる。
もう……その瞳、チンピラみたいで恐いから、やめろってんだ。


でも、俺は怯まなかった。


だって、絡まれたときに助けてくれた大野も。
絆創膏を貼ってくれた櫻井も。
転びそうになった俺を支えた菊池も。
……みんな、とても優しかったもの。

松本のグループとは、仲が悪いのは知ってるけど、俺まで巻き込まれることないじゃん?って思う。

自分で見て、自分で感じたもので、判断したい。

俺は、強い瞳で上田を見上げた。


「そんなに毛嫌いすること……ないと思いますけど」

「……あんだよ。あいつらとは関わったらろくなことねえの。那須の時、思っただろ」

「……あれは……誰も悪くないと思います」


ただ、櫻井を好きになっただけのことだ。
だけど、ちょっと愛しかたを間違えただけだ。
そうでしょう?


「……みんな、人を好きになることに悪意はないですもん」

「…………」

「そんなんでいがみ合いするのは、おかしくないですか」


あなただって……櫻井先輩のことが好きなんでしょ?


心で問いかけた。

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