テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


「お前さぁ……どうしてそうなの」


仏頂面で風をきって歩く上田に、一生懸命ついて歩きながら、俺は返答に困った。

どうして、って……

すると、何も言えない俺に、イライラしたような顔で、上田が吐き捨てた。



「前も言ったけど。お前には潤がいるだろうがよ」

「…………」

「他の男についていくんじゃねぇよ」



これには、ちょっとムッとした。
別に、そんな下心とかあるわけじゃないのに。
どうしてそんな言い方をされないと、いけないんだよ。


「そんなつもり…」


言い返そうとしたら、言葉尻を引ったくるように、


「よりによって菊池?バカかお前は」


冷たい視線とともに、怒られた。


「…………」


……なんだか、ムカムカする。


「聞いてんのか」


納得いかない。
だって、大野の人たちは、あれでみんな優しい。
だいたい、こんな風に上田に言われる筋合いある??

そっちこそ、なんなんだよって話。



「菊池先輩も大野先輩も……櫻井先輩も、みんないい人です。俺は嫌いじゃないです」


俺はぴしゃりと言い返した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ