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キラキラ

第37章 寵愛一身


「……あぶねーぞ」


見上げたら、明るい金髪が見えた。
涼しい目元を、少しやわらげ、俺の肩をささえてるのは、


「菊池……先輩」

「なんだか、おまえはいつもこけたり、怪我したりしてるな」


くくっと笑って、からかわれるから、俺は恥ずかしくてうつむいた。
なんか大野のグループの人たちには、カッコ悪いところばかり見られてるような気がする。


くそ……


それでも助けてもらったのだから、ありがとうございます……と、礼を言おうとしたら、菊池は、購買部の人だかりに目を向けた。


「パンか?買えたのか」

「いえ……まだ」

「何が欲しい」

「え……?」

「何を買おうと思ってたんだ?」

「あ……えと、BLTサンド……とあんパン」


菊池は、俺の手にある1000円をびっと取り上げて、人だかりの一番後ろにいた生徒の腕をとった。


「おい。BLTとあんパン。これで買ってきてくんね?」

「え……ちょっ……」


何言うてんの、この人?!


俺は、びっくりして慌てて止めようとしたけれど、その生徒は、一瞬不審な顔をしたものの、相手が菊池だとわかると、はい、と人だかりに潜っていった。


……うそだろ


俺は、呆気にとられて、立ちつくした。

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