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キラキラ

第37章 寵愛一身


そのときだ。

俺たちから、ちょっと離れた場所で、人待ち顔をしてずっと立っていた女子高生が、あ、という顔をしたかと思うと、通り抜けようとしていた男子高校生のグループに声をかけた。

そのうちの一人が立ち止まり、その子に向き直る。
話の内容は全く聞こえないが、なんとなくお互いにもじもじした雰囲気から、女子高生が想いを告白しているのだろうということが分かった。


え……なに?クリスマス前にカップルになっとこうとでも思ってんの?みんな。


さっきの松本への告白劇場を思い出してしまい、邪推しながら、そんな様子を見る。

そのうちに女子高生は、嬉しさ満開の顔をしてペコリと礼をした。


ああ……成功したんだ


二人は、連絡先の交換を始めた。

俺は、松本をちらりと見上げた。

松本はそれこそ興味なさそうに、別の方向を見てるから、俺は、わざと聞いてみた。


「潤くんも……ああいう風に告白ってされるんですか」

「……前はな」

「……今は?」

「……ない」


松本は、言って、またコーラを飲んだ。


……うわ。嘘ついた。


どんな顔をしてよいのか分からず、俺もオレンジジュースをこくりと飲んだ。

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