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キラキラ

第36章 バースト10


瞬きしたとたん、場所がかわる。

俺らは手を繋いで、とてもとても涼しい場所に横たわっていた。
涼しいというか…寒い。

顔を動かしたら見えたのは、夜空。


いや…というか外じゃん!


俺は飛び起きた。


「…翔」


傍らで、か細い声がして、目をやれば、真っ赤な顔をした潤が、俺の手をぎゅっと握って、うつむいた。


「ごめん、起こして…なんかあの場から離れたかったんだけど…一人じゃ心細くて…」

「いや……俺こそごめんな。帰ったら、智兄を怒っとくから」


ったく、あの二人は!

俺が、あきれてため息をつくと、慌てたように潤は首を振った。


「い…いいよ…智さんも、俺らが…その…聞いてたなんて知りたくないでしょ」

「ああ…まぁ…そうか」


うーん…と、頷く。

あれはどう聞いても、本番をしてた。
俺らがいるのに、まったくなに考えてんだか。


寒さにぶるりと震えながら見渡すと、ここは露天風呂だった。
なんとか外に!と思った潤の必死さが表れてて、苦笑する。

真夜中の露天風呂は、当然誰もいない。
コポコポと湯がわく音だけが、静寂のなかに微かにきこえる。

宿の清掃も終わってるのだろう。
ガラス越しにみえる大浴場の椅子や桶は、整然と並べられていた。

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