
キラキラ
第36章 バースト10
この面子だと、鍋は俺が作らないといけないかと思っていたが、意外と動いてくれるのが松岡さんだった。
ビールを片手に、蟹や豆腐をぽいぽい鍋に放りこんでは、みんなの皿に、ほれ食えよー、と振り分けていく。
そういえば、この人は料理が趣味だとか言っていた気もする。
智兄が遅く帰ってくる日とかは、松岡さんちで夕飯食べてきた、と言っていたことが多かった。
蟹の殻を割ったものを、智兄に手渡してる松岡さんは、とても面倒見のよい兄貴といった感じだ。
「翔~食ってるかー」
「食ってますよ」
「潤は」
「はい。食べてます」
「お前細いなぁ~もっと食えよ、もっと」
ガサッと蟹と白菜が、潤の皿に追加された。
ほろ酔いの松岡さんは、陽気にあちこちに絡んでる。
潤が苦笑いして俺をみた。
腹一杯なのだろう。
俺は、こっそり潤の皿からいくつか俺の皿に中身をうつした。
目の前では、相葉くんがターゲットになってる。
ほれ食えほれ食え、と相葉くんのお皿はてんこもりだ。
でも相葉くんなら食うだろう。
かずが、楽しそうにそんな様子を眺めながら、茶碗蒸しを食べてる。
智兄は、ビールを片手にふにゃふにゃ微笑んでそんな俺らを見守ってる。
いいな。こういうの。
大家族みたいだ。
俺は、あったかい気持ちで、蟹の足をパキリと割った。
