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キラキラ

第36章 バースト10


お先に~と、戻ってきた相葉くんたちと入れ替りで、外に出た。

「さむっ」

外と中とは、天地の差の気温。

小走りの潤のあとを、俺も急いで追いかける。
雪がちらつく中、裸でいるのは、我慢大会だ。


「うわぁ……あったかー!」

「ふぅ……生き返るなぁ」


小さな露天風呂に飛び込む。
湯の温度は、少しぬるめ。
これはあまりの寒さのせいか。

しゃがみながら、湯がコポコポ音をたてながら足されてるところに移動すると、そのあたりだけ温度が高い。
ちょうどいい湯加減だ。


「潤。ここ。このへんあったけーわ」

「ほんと?」


潤も首までお湯につかったまま、すいーっと泳いできた。


「ほんとだ。あったかい」

「……気持ちいいな」

「ね」


2人で並んで岩にもたれかかり、空を見上げる。

宿についた頃はまだ明るかった空も、今やとっぷりと日が沈み、闇のなかをチラチラ雪が舞う幻想的な夜空となってる。
ライトアップされた庭園は美しく、都会の風景とはちがうそれらに、気持ちが開放的になる。

俺は、湯のなかで、そっと潤の手を握った。

潤が、ちらとこちらを見上げた。

戸惑いと、期待と。
いろんな気持ちがこめられてる瞳をみつめる。

潤が微笑んで、その瞳を閉じたのを見た。

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