
キラキラ
第36章 バースト10
『智さん情報。そろそろ松岡さん帰ってきそうだよ』
かずのテレパスをうけて、俺たちは潤のチカラで、即座に車内に戻った。
潤のチカラも安定してきたものだ。
智兄たちに、お疲れ様、と、声をかけられ、これで暖まれ、とブランケットを渡される。
震えてる潤の膝にかけてやったら、翔も一緒に、と、無理やり広げて二人の膝にかかるようにしてくれた。
そうしてブランケットの下で手を繋ぐ。
潤の指がしきり俺の手の甲を擦る。
「冷たいよ……大丈夫?」
「お前こそ。震えてるじゃん」
俺たちの会話を聞いて、智兄が燃料を気にして節約気味にしてた暖房をフルパワーにしてくれた。
その直後、いやー良かった良かった、と松岡さんが小走りで帰ってきた。
「どうだった?」
智兄が何食わぬ顔できくと、松岡さんは、
「上々」
と、親指をたてた。
雪まみれのジャンパーを脱いで、運転席にすべりこむ。
前方をみるとノロノロながら車列が動き始めてる。
松岡さんは、寒さで真っ赤になった手でシフトチェンジし、首をコキコキとならした。
「この先でな、若い夫婦の車がスリップして道をふさいだ状態で止まってしまっててな。みんなで動かしてきた」
「へぇ……お疲れ様」
智兄の相槌をききながら、潤と顔を見合わす。
あの車体を押してるドライバーたちの集団に松岡さんもいたんだ!
