
キラキラ
第36章 バースト10
ちらつく雪が、俺たちの姿をうまく隠してくれるといいけれど。
俺と潤は、ちょうど事故現場の真上に跳ぶことができた。
俺は、ゆっくりと高さを調節しながら、現場がみえるところに近づいた。
眼下には、坂道で斜めにとまったミニバン。
そしてその車の後ろに続く長い車列と、対向車線の車列。
ミニバンをなんとかして動かそうと、おりてきたドライバーとみられる何人もの人間が群がってる。
だけど、降り積もった雪に足をとられ、思うように動かせないようにみえた。
俺は潤と手を繋いだまま、意識を集中させた。
いきなり動かしたら、周りの人間が怪我をするかもしれないから、彼らが車体を押している力にうまくシンクロさせて、少しずつ微調整しながら、方向を修正する。
いつもなら簡単なことでも、この雪国の外気温のなか、集中するのは至難の技。
俺は、震える体を叱咤しつつ、ひたすらにチカラを操る。
潤が、ぎゅっと俺の手を握ったのがわかった。
その手から、ポカポカと潤のチカラが流れ込んできた。
思わず潤の顔をみたら、寒さで真っ赤になった頬で、にこりと笑い、
「頑張って」
と、口にしてくれる。
俺は、うなずいて再び眼下に視線をもどした。
