
キラキラ
第36章 バースト10
「気をつけろよ」
智兄が、心配そうにしてる。
身の安全と、人に見られるかもしれない危険と。
その両方の意味と捉え、俺は、うん、と頷いた。
「かず。松岡さんが戻ってきそうになったら、テレパスで教えてくれ」
俺と潤の二人が車内にいない理由は、外に出てるとでも、なんでも言い訳はきく。
だけど、瞬間移動でいきなり車内に戻ったところを松岡さんに見られたら、ちょっと言い訳に、困りそうだ。
かずは、わかった、と、こくりと頷いた。
ダウンジャケットのファスナーを一番上まであげた潤の手をとった。
「現場あたりの空まで。できるか」
「一キロくらい先って言ってたよね」
「そうだ。見られたら困るから、なるべく高く」
「やってみる」
ふう、と深呼吸した潤。
ゆっくりと扉を開くように、チカラを解放してるのがわかる。
ふわりと、体を温かい空気が包んだかと思ったら、次の瞬間、俺らは極寒の外気のなかにいた。
