
キラキラ
第36章 バースト10
降り始めだったおかげで、道が凍結することもなく、なんとか、今晩泊まる予定の地の近くのインターチェンジまでたどり着くことができた。
スピードと足周りに気を使いながら、何時間も運転してくれていた松岡さんに、ようやく、ホッとした笑顔がみられる。
「よっしゃ、 もうすぐだな」
「あともう少し……頑張って、昌宏さん」
智兄が申し訳なさそうにエールを送る。
自分の運転技術じゃ、もはやこの雪道はお手上げだ、とそう言っていた智兄。
交代でするはずだった運転を任せきりにしてることに、負い目があるのか、ちょっとしゅんとしてる。
そんな智兄を元気付けるようにか、松岡さんは、余裕綽々といった感じで、大袈裟に「おうよ」と言って俺らを笑わせてくれた。
これなら安心だな。
俺も、今日の宿の食事はなんだろうな、と、のんきなことを考え始めていた。
……ところが、目的地まであと数10キロといったところで、突然車の流れがとまった。
片側一車線の追い越し禁止道路。
反対車線も全く車が流れてこない中で、数珠繋ぎになってゆく車。
「参ったな……ここまできて」
松岡さんは伸びをして、前方をみつめる。
