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キラキラ

第36章 バースト10


道路状態が悪くならないうちにと、降り続ける雪のなか、一気に次の休憩予定のサービスエリアまで走り抜ける。
この際、智兄のスピードには目をつぶった。

昼休憩後、約束通り運転手を再び松岡さんにお願いして、出発する。


「やっべーな……これ」

松岡さんが呟く。
年末年始は冷え込むだろうという予報だったし、雪国にむかうつもりだから、それなりの準備はしてきたけれど。
予想以上に振りだした。


潤が不安そうな声をあげた。


「わぁ……真っ白」

「すげ……松岡さん、前見えますか?」


思わず、のびあがってフロントガラスを見つめる。
忙しく動くワイパーの向こうは、見事に吹雪いてる。


「……今んとこはな。通行止めになって高速おろされる方が怖いから、行くとこまで行くけど」


ちょっと前屈みになって前方を見ながら、松岡さんは、傍らのホルダーにある缶コーヒーに手をのばした。


「……翔、どうにかできないの」

「……バカ言え。さすがに天気までは操れねぇわ」


潤のすがるような瞳に、苦笑いした。
雪をとめれたら、もはや神だろうよ。


俺は、「だけど……」、と、潤の手を握り安心させるように囁いた。


「……この車が事故りそうになったら、なんとかするくらいはできるから」

「……さすが」


潤が尊敬の眼差しで俺を見るから、俺はニコリとしてみせた。


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