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キラキラ

第36章 バースト10

途中で、トイレ休憩をかねて大きなサービスエリアに立ち寄る。

昼にはまだ早い時間にも関わらず、年末とあってか、食事処も、土産物売り場も、賑わっていた。
正月を前に、みんなめでたい気分で浮き足だってるのか不思議な賑わいだ。

フードコートは、家族連れでいっぱいだったから、俺たちは建物の外に出た。

寒空の下、屋台に群がる人々を横目に、俺は缶コーヒーに口をつけた。

潤は、かずと並んでベンチに座り、ココアをふーふーしてる。

寝起きのかずは、若干ぼんやりして潤に寄りかかるように座ってる。

そんな彼をいとおしそうに見つめながら、相葉くんは、ぷし、と音をたて、コーラのペットボトルをあけた。


松岡さんは、タバコを吸いながら険しい顔をして空を見上げた。


「……降りそうだなぁ」


つられて空を見上げれば今にも雪が落ちてきそうな灰色の空。


「タイヤは?」


心配そうな智兄の問いに、松岡さんはバッチリなんだけどなぁ、と苦笑する。


「四駆だし。冬タイヤだし。少々大丈夫とは思うんだけどな。たくさん降ったら、やっぱり気持ち悪ぃからなぁ……」

すると、ちょっと考えてた智兄が、


「……昌宏さん、俺、今から運転する」


と、申し出た。


「や。まだ、俺いけるぜ?」

「ううん。高速おりて下道になったらかわって」

「……ずるいな!お前」

「だって、自信ないもん……」


智兄が情けない顔をして、運転手交代を申し出た。

松岡さんは、しゃーねーな、と笑って、コーヒーをあおった。

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