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キラキラ

第35章 屋烏之愛


最終成績は、総合優勝を我ら三組がとって……今年の体育大会は幕を閉じた。


昼休みの騒動含め、いろんな意味で記憶にのこる1日になったなぁ……と、思う。

優勝のお祝いしよーよ!という相葉を、松本が、また今度な、とたしなめ、俺たちは共に帰路についた。

小腹もすいたし、ゆっくりできるという点で、俺はてっきり、いつものようにマクドかどこかに寄って、2人で軽食でもとるのかと思ってた。

だが、松本は、マクドを通りすぎ、駅に向かう。

あれ?と思っていた俺に、松本はまっすぐ前を見つめ、歩きながらぼそりと言った。


「俺ん家来て」

「……え?」

「……カズと2人きりで祝いたいんだ」

「……いーですよ」


松本の言葉に、こくんと頷く。


二人きり。


そのワードに、急にドキドキする。


他人の目をそこまで気にしない松本だけど、俺は気にする。
そのあたりをくんでくれて、人前ではめったにイチャイチャなんてしないけど……。

俺は初めて松本と手を繋ぎたいと、思ってしまった。

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