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キラキラ

第35章 屋烏之愛


松本の部屋を訪れるのは二度目である。

例によって、誰もいないお屋敷の、とんでもなくボンボン臭のする部屋に通される。
相変わらずの広さに、久しぶりに圧倒される。


「なんか飲みものと食い物持ってくる」


優しい口調で言いおいて、でてゆく松本を見送り、俺はソファーにちょんと座った。

1日、主のいなかった部屋は、まだ蒸し暑く、クーラーが頑張って稼働する音が響く。

ふと、自分の格好を見下ろした。
制服に着替えたとはいえ、一日中グランドにいたからあまり綺麗な気がしない。

俺、ほこりっぽくないかなぁ……汗もかいてるし。

綺麗な部屋にそぐわない格好をしてるのが気になり、なんだか落ち着かない。

手持ち無沙汰のあまり、遠慮がちに辺りを見回してると、こないだ来たときには気づかなかった、いろんな松本の面がみえた。

例えば、本棚にならぶマンガは、俺らが読むのとかわらないんだな、とか。
例えば、出しっぱなしのゲームのソフトは、意外と古いな、とか。

そんななか、


「…………?」


オーディオの横のスペースに飾ってある写真立てに、ふと目がいった。

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