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キラキラ

第35章 屋烏之愛


ドキドキしながら、見守るなか、スタートした。

第一走者、第二走者は、一年生。

先頭は一組の赤、続いて四組の青、少しあいて三組の紫、二組の黄色、ラストに五組の緑が続く。

ほぼ団子状態で次の走者に渡ると思ったら、


「あああ!!」


応援席から悲鳴のような声があがった。

走者同士がカーブで接触して、青と紫の一年が転んだのだ。
いち早く立ち上がって走り出したのは俺ら紫チーム。青も、少しよろめいたあと、全力で後を追いかけ走ってる。

トラック半周ほどの差がついてしまい、早くも応援席はあきらめムードだけど、俺は祈るような気持ちで、次の走者を見つめていた。

毅然とした瞳で、一年からのバトンパスを待つのは、相葉。

午前中の障害物競争での走る姿が、目に焼き付いてる。

クラスメートの誰かもそれを覚えていたのか、

「……なぁ、次走る二年のあの人、午前中めちゃくちゃ早かった金髪じゃね?」

と言い出した。

おー!そーだ!!と俄然応援席が、色めきたった瞬間、バトンが相葉に渡る。
相葉の細いからだが、しなやかにトラックを駆け出した。


そこからは、応援席は絶叫だ。


「いけー!金髪のせんぱーい!!」

「相葉せんぱーい!!!」

俺も思わず叫ぶ。

半周ほどの差がほぼ縮まり、バトンは、松本に渡った。

俺の心臓がドクンと音をたてた。

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