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キラキラ

第35章 屋烏之愛


「すげーな、おまえ!」

「やるじゃん!」

「…………ども」


手のひらをかえしたようなクラスメートの態度に、若干戸惑いながら、俺はくすぐったい思いで応援席に座る。

現金なやつらと言ってしまえばそれまでだが、クラスに馴染むひとつのキッカケとして捉えるならば、まぁいいか、と思う。
ヤンキーの上級生と常にいる俺なんか、クラスメートには怖くうつって当然だろうから。


そうして、粛々とすすんでゆくプログラムのなか、ついにラストの競技である全校縦割リレーが始まろうとしていた。
これは、一年から三年までのクラスを一組から五組まで縦で割り、それぞれがひとつのチームとしてリレーで競うものだ。
各学年2人ずつでていて、六名がひとつのチームである。


……松本がでているはず。


俺は、立ち上がり、その姿をさがす。

三組そろいの紫のハチマキをした軍団のなかに、ひときわ背がたかい2人組がみえた。

松本と相葉だ。

その横の四組の青いハチマキをした軍団には、大野と菊地がみえる。

ちゃんとこういう行事に参加することが意外だけど、クラスのタイムの上位二名が走ることに決まってる競技だから、大野らも断れなかったのだろう。

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