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キラキラ

第35章 屋烏之愛


そして。


「あれ……?こうかな?」


何度も何度も、絆創膏をつけたりはずしたりして、まっすぐに歪まずに貼ってくれようと、不器用丸出しに集中してる櫻井もまた、当初の予想するイメージとは違っていて。

冷たいサイボーグみたいな人なんだろうな、と思っていたのに、目の前の櫻井はすごい天然というか……

つか、いい加減、テープ部分に血がついて、粘着力が弱まってるんじゃないかと思う。
しかもちょっと痛いし。

でも、それらを言うに言えず、じっと黙ってると、


「なぁ……翔。おれやろうか」


見かねた菊池が、新しい絆創膏を手に申し出てきた。
櫻井は、ムッとしたように口を尖らせて、じろりと菊池を見上げた。


「なんでだよ。俺がやる」

「……じゃあ、せめて新しい絆創膏とかえたら。もうそれくっつかないと思うぞ」

……どうでもいいけど、痛いんだけど……


二人の会話を聞きながら黙ってると、なんとなく大野と目があった。

大野は、俺に目配せしながら、しょうがないね、というようにふんわり笑ってみせる。
なんか、俺も思わず笑ってしまった。

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