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キラキラ

第35章 屋烏之愛


人が来た……!


助かったとばかりに、思わず、声の主を見やる。


ゆっくり近づいてくる一人の男子生徒。


見た目は……とても柔和な顔立ちをしている。
整った眉。高い鼻。
柔らかな目元は、タレ気味で柔らかな印象を与える。
だが、その瞳は冴えた冷たい光を宿し、口元は不機嫌に尖ってる。

何より、有無を言わせないオーラがものすごかった。

視線をおとして確認すると、かかとを履きつぶしてる校内履きのラインの色は青い。

……三年だ。


「四人で一人って……くだんねーことしてんなよ」


低い声でぼそっと言いおいて通りすぎようとしてるその人と、目があった。
その人は、少したちどまって、俺をじっとみたあと、


「……ちょっと来い」


手招きしてきた。


俺をおさえつけてた四人は、既に毒気をぬかれたように、立ち尽くしてる。

俺は、迷うことなくするりとその場をぬけ、ポロシャツの前をあわせながら、階段をあがりだした三年のその人の後ろをおいかけた。

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