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キラキラ

第35章 屋烏之愛

松本のグループとつるむようになって、俺は同学年の中で浮いてると自覚はあった。

よそよそしくするやつ、気を使うやつ、関わりたくないとばかりにあからさまに無視するやつ……様々だ。

まぁ、俺はもともと一匹狼みたいなところがあるから、それに関しては特に気にしない。

ただ、松本たちは、目立つやつらだから、それらを怖がる人間もいれば、逆に、疎ましく思う人間もいることを忘れちゃいけないな、と思った。

察するにこの四人も、松本たちが疎ましいけれども、怖いもんだから、自分たちで直接意見することはできないってタイプだ。

だから、松本に近い位置にいる俺に、文句を言ってきたのだろう。


…………めんどくせぇ


自分一人で動けないやつは、俺は大嫌いだ。


「つきあいきれねぇ……どけよ」


無視して、その場から離れようとしたら、四人がかりで壁におさえつけられた。


背筋を冷たいものが走る。


足も押さえられてるから、前みたいに急所を蹴りあげることができない。

一番体のでかいやつが俺の顎をぐっとつかみあげて、顔を近づけてきた。


「てめぇがこれ以上調子にのらねぇように、俺らがちょっとばかり遊んでやるからよ」


言うなり、俺のポロシャツの襟をつかみ、いっきに左右にくつろげた。

第2ボタンまでが弾け飛ぶ。

鎖骨くらいまでを晒した姿に、俺は怒りで目の前が真っ赤になった。


「ふっ……ざけんな!こんなことしてただですむと…!」

「えー……なんか言ったか?」


言って、四人のうちの一人が俺のうなじに指を滑らせた。
ぞわりとした感覚に、


「……ひっ……」


思わず体を縮こまらせた。


「ひ、だってよー(笑)」


ゲラゲラ笑う四人を、涙目で睨んだ。


こんなやつらに、なんもできないのが悔しい……!

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