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キラキラ

第35章 屋烏之愛


そう考えてしまうと、妙にドキドキがとまらず、しまいには、松本の真っ直ぐな大きな瞳を受け止めきれずに、俺は少し視線を下に向けた。


「えっと……」


スニーカーで砂をいじりながら、考える。


どこ行きたい?と、言われたけれど、今日は俺はもらった土産物で大荷物だし。


あんまり、あちこちうろうろはしたくないなぁ……


と、考えてたら、松本が唐突に、


「うち、来るか?」


と、言った。


「そのTシャツ着てみてほしいし」


俺の荷物を指差して、土産のTシャツを試着してほしい、という。


え……、と、ためらってると、俺の沈黙を了解ととらえたのか、松本は、行くぞ、と歩きだした。
あわてて俺がそのあとを追うと、俺がぶら下げてる荷物をさりげなく取り上げ、持ってくれる。

彼氏のようなその振る舞いに、さっきからドキドキしてた俺は、なんだか頬まで熱くなってきて焦った。

男の先輩の家に遊びに行くだけだ。

たかがそれだけでこんな狼狽える必要はないはずだ。

どうした、二宮……(泣)

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