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キラキラ

第35章 屋烏之愛


別に喧嘩を奨励するわけじゃないけど、かりにもグループのトップなら、足並みはそろえとくべきだろう?

俺は、ざわつくみんなを前に、平然としてる松本を見やり、おそるおそる提案する。


「……少しだけ顔出したらどうですか?」


すると、松本は、意外だという顔で、


「いいのか?俺との時間が減るんだぞ?」



……全然かまわないけど!


とは、言えなくて、俺は困ったようにうつむいた。


「みんながあなたを求めてるなら、そっちを優先しなくちやいけないと思います」

「…………」


隣の上田の視線が痛い……。


俺は、そちらを見ないようにして、松本を見上げた。


「……俺も行きますから。終わったら、お茶しにいきましょう」


このアウェイな空気が耐えられない。


俺は、精一杯の打開策を提示した。
松本は、ちょっと不機嫌に眉をしかめたけれど、他の連中の手前、そこまでわがままは言えないと思ったのか、しぶしぶ頷いた。

そして、上田をじろりと睨み。


「……秒でカタつけろよ」


リーダーの顔で指示をした。

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