
キラキラ
第35章 屋烏之愛
「おはようございます」
校舎裏の一角。
その場に集うグループの連中に挨拶をすると、うーす、だの、おう、だの、低い返事が返ってくる。
相変わらず、金髪、茶髪の割合がすごい。
初めて見るやつは引くレベルだ。
立派なヤンキー軍団だ。
その集団の中心で、ベンチに座る金メッシュをいれたやわらかなロン毛の男が、手をあげた。
リーダーの松本。
俺は、ぺこりと礼をしてその人の傍にゆき、促されるままに隣に座った。
「久しぶりだな」
「……そうですね」
さすがに夏休みは、グループで集まることもなかったし、個人的に会ったりとかもしてないから、松本に会うのも、およそ一ヶ月ぶりだった。
一学期の俺への執着ぶりを考えるに、夏休みも引っ張り回されるかと思っていたけど。
「ほら、土産だ」
膝の上に、紙袋やら免税店のビニール袋やらを、ポイポイと放り投げられて、ポカンとする。
「なんですか?これ……」
「休みの間、ロスに行ってたから」
「へぇ……」
だから、連絡なかったのか……、と納得しながら、ありがとうございます、と袋の中身を見てビビった。
俺でもみたことのあるブランドの鞄やら、Tシャツやら……
「……こんなにもらえません」
途方にくれて呟く。
話にはきいていたが、マジで生粋のボンボンだ。
住む世界違いすぎねぇか?
